愛ってなに 3
夕方頃、またバタバタと大きい音を立てながら彼が帰ってきた。
「ただいま」
「...おかえり」
この当たり前のやり取りだけど、
基本的に彼が自分からただいまという事は滅多にないし喧嘩してるときに彼のほうから話しかけてくること自体、ない。
だからきっと本当に悪いと思ってるんだろうってわかった。
「郵便局の本局行きたいから一緒に行こう」
私は首を振った。
「なんか食べた?俺食べてないんだよね」
私はもう食べました。ジャンクフードをね...
「ねえ、行こうよ」
こんなやり取りをしばらく繰り返して
私はまだ明るい気分にはなれなかったけど、
ずっと拒否しているのは可哀想だなと思って郵便局行くの付いて行った。
一緒にいるのは苦にならなかったけど、まだ笑ったり話したりする気分になれなくて、そうしようとするんだけど出来なくて、こりゃ想定以上にダメージ大きいなと。
郵便局の帰り。
こんなこと言ったらまた彼がキレるかもしれない...でも言うなら今だ。と思って
「あのね。一度、三重の彼女に会ってきたらいいよ。
」
と言った。
「連絡先わかんないから無理だよ」
「私と知り合った後にも(付き合う前)二人で旅行行ってたでしょ?mixi見てたりもしたじゃん」
「....」
「共通の友達とかいるでしょ??なんとかして調べて会いに行くのがいいよ...」
「共通の友達なんかいない。別に会わなくていいよ」
会わなくていいとか言うならもう二度と彼女の影をちらつかせないで頂きたい。
「私もね...最初の結婚の時、元彼が忘れられなくて、会ったんだ...。
会ってスッキリすることもあるし、やっぱり彼女がいいってなるかもしれないけど、それはそれで受け入れるから。我慢してほしくないし、後悔してほしくないの」
つまりは自分の意志で考えて選んで決めて欲しいのよ。
彼は何も言わなかった。 どう考えているのかは分からない。
ただ出不精で面倒くさがりな彼が自ら行動を起こす可能性は、低い。
それでグチグチ言われるんだからこっちはたまらないけど、言いたいことは言った。
家に着いてしばらくしたら彼のお母さんから電話があった。
夕飯の誘い。 私が行かなかったら心配するだろうな、と思ったけど、みんなの前で笑顔でいられる自信がなかった。
どこにも行きたくないし、誰にも会いたくない。
彼は私と一緒にいる、と言ってくれたけど、 一人にしてほしいと伝えて実家へ行ってもらった。