結婚しているのに人を好きになってしまった

”不倫” 何不自由ない結婚生活をしているのに、他の人を好きになってしまったら。


アパートで暮らしはじめてから、

子供に習い事を、と思って

知り合いから紹介してもらった空手に通い始めた。

最初はカッコイイと面白がっていたが、

3回目の見学から「めんどくさい」とか「家で遊びたい」とか言うようになった。

ボランティアで教えているようなところだから、最初からレッスンではなくて

年齢が小さいこともあり、1ヶ月以上見学をしていた。

まだ見学の段階だったけど、せっかく始めたのだから続けさせたいと

子供が旦那の元へ行ってからも連れて行くようにお願いした。

最初の週は、面会も兼ねて私が連れて行こうと思い立ったが、旦那とうまく折り合いが合わず休ませてしまった。

その件で旦那と電話で話したとき

子供たちが寝る前に「ママに会いたい」と言っていたことを聞かされた。

「ママの声が聞きたい」と泣いた、と。

どうして電話すらさせてくれなかったのだろう。

俺には俺の考えがある。

旦那はそう言うけど、

その考えはいつも私とは違うところにある。

次の日、子供たちと電話で話した。

キャッキャする声が聞こえて、

案外楽しそうにやってるじゃないか、と拍子抜けした。

それで

彼には「俺は一体何なの」とか言われた。

電話の向こうの旦那と子供たちの話声。

あれほど慕ってた子供たちが楽しそうにしてるんだから、

今まで短い間でも頑張って子育てしてくれてた彼からしたら虚しい気持ちになったんだろうな、と思う。

私だったらそうなる。

「日曜日にママ会おうね。って言って」

って旦那が子供に言っているのが聞こえた。

子供たちは素直に「日曜日に、なったら、会おうね。」って言ってくる。

子供には会いたい。

でも旦那が一週間やそこらで息抜きできてしまうのは嫌。

子供には会いたい。

でも会ったら離れるのが辛いに決まってる。

離婚して親権がない方の親が

子供を連れ去っちゃうのは犯罪だというけど

その気持ちはわかる。

親権なんて

子供の意志を無関係に決めてしまうものなのだから。

結局日曜日は

母に呼ばれた。

「温泉でも行こうよ」

母も色々な葛藤のなかで

こんなふがいない娘を気遣ってくれてる。

昔はよく一緒に日帰り温泉に行った。

1時間くらいは露天風呂に浸かって女子トーク。

何でも話した。

いつも長くなりすぎて父を待たせては怒られた。

不倫を初めてから

素直な気持ちで母と向かい合えなかったけど、思っている気持ちを全部伝えた。

離婚がゴールなんじゃなくて

彼とのことも。

旦那とのことは

昔から私たちを知っている母だからこそ、離婚しないで耐えて欲しかっただろうし、同時に諦めもついたようだった。

知っているからこそ、

仕方がないと思えたようだった。

今まで彼に対して否定的な見方しかしてこなかった母が

「彼は悪くないよね。あんたが全部悪いのよ。それはわかってるよ。」

と言った。

「でもね、彼の存在は 未知数なの。

何にも知らないし、若い彼にどれほどの覚悟があるか、想像もつかない」

色々話した後

「パパやお姉ちゃんは反対するだろうけど、そのうち、彼にも会わなくちゃね。

離婚するまでは、どうやったって会えないんだよ。ママにも立場があるんだから。それだけはわかってね。」

その言葉で

自分本意だけど

すごく救われた。

自分のわがままでこうなって

家族との仲もおかしくなって

そうしたのは全部自分なんだけど

だから家族も何もかも捨てて

その部分は不幸になる覚悟はとっくにできていたけれど

やっぱり私はちゃんとした形で彼と付き合いたかった。

日曜日は子供に会わなかった。

子供がいない生活に、早くも慣れた。

そして空手の日。

子供に会えるのが楽しみで。

忘れて行ったおもちゃや、いつでも私に電話できるように子供用の携帯を用意した。

迎えに行くと

いつも通り明るい子供たち。

ママー!ってすごい嬉しそう。

家から出た途端

まだ車にも乗っていないのに

「僕ね、とーちゃんのこと言わなかったよ!!」って得意気に言ってくる。

なに????

「とーちゃんって、すーちゃんのこと!

パパにも誰にも言わなかったよ!!」

「すーちゃんおうちにいる!?今日会える?」

「空手が終わったらさー、すーちゃんと会いたいなあー!」

私のことより

すーについて捲し立てる子供たち。

でも彼はもう子供には会わないと言ってた。

彼にも子供にも申し訳なくて

中途半端なことしたのは私で

それに…

この時

私はすーに

また出ていかれているところだった。

喧嘩なんて立派なもんじゃない。

彼は理不尽に怒って出ていったきり、

電話もラインも出ない。